春の雨の中、思いがけない出来事。
結局見学したコミュニティに私は入りませんでしたが強くなりたいと日頃から言っている長男が入会し、私も付き添いで定期的に稽古場へ足を運ぶこととなりました。運命の出会いであったとしてもそれ位の距離感が丁度いいのです。純白のモザイクの姿を見かけてほのかに楽しい位が丁度いい。
実はHPに載っている指導者の写真を初めて見た時、瞳に乾いた氷が宿っているような印象を受けたのが気になっていました。見学どうしようかな?と、チラッと思ったりもしたんです。ですが実際に会ってみれば冷たい人という感じは無く、むしろ“完璧” “心配要らない”という言葉が似合いそう。とにかく好印象しかありません。
長男に付き添い稽古場に通い始めて間もない頃、「ファミリーコンステレーション」というスピリチュアル・ワークショップの案内が舞い込んできました。家族というシステムに焦点を当て、そこで引き継がれてしまっているパターンや葛藤、痛み、トラウマを解明し、解放していくワークのようです。
七人兄妹のうち母を含めたほとんどが離婚し苦労してきたのは家系に何か問題があるのではないかしらと思っていた私ですから、思わずこの案内に飛びつきました。何が何でも参加したい!母のために受けたアカシックリーディングではヒントをもらえなかったけれど、もしかしてこのワークショップなら不幸を断ち切る手がかりが得られるかもしれない!
ワークショップの説明を読んでいて得体の知れない部分もありましたが気にしている暇はありません。ワークショップが行われるのは1ヶ月半ほど先の3月最終週末です。ほぼ即決で申し込みを済ませて一安心。
そろそろ桜の話題も出始める3月のとある日、春の小雨に傘を差して歩いていると偶然道端で純白のモザイクに出会いました。ジュースの自動販売機の前で小銭を出そうと何やらモゾモゾやっています。
挨拶をして、少し立ち話。
確かに気にする程ではないけれど、多少なりとも濡れるからと無防備な純白のモザイクの頭上を傘で覆ってみました。
「あ、それでしたらこちへ。」
彼は自動販売機のすぐ脇の軒下へ私を誘ったのです。なぜかと言うと、雨に濡れない場所に移動すれば私が傘を差し出す必要がなくなるから。
(こんな事ってあるの…?)
軒下に入って傘を降ろし、私はポカンとしてしまいました。人の為にと何かをすれば大抵相手はそれを受け入れるものです。下手をすればやってもらって当たり前、もっともっとと要求する相手もいます。そして私はそういう人達に囲まれてすっかり疲れ切っているところでした。心がジンワリしてきます。
(大丈夫ですと断るのでもなく、そっと傘を降ろさせて負担を減らす機転の利かせ方がスマートで優しさが滲んでる。こういう扱われ方って、誰にもしてもらったことなかった…。純白のモザイクがどんな人なのかもっと知りたい。知りたくなってしまった。遠い距離感で良かったのに。)
春の雨が、そして心が温かい。